April 14, 2010

成功 はまぐれなのかも

偉い経営者の言葉を読んだり、話を聞いたりすると、やはりビジネスを成功させるのには何か秘訣があるのではないか、と思うわけです。

し かし、最近ちょっと違うような気がしてきました。山とあるビジネス書のタイトルを眺めていると、特にそう思います。これほど多くの「成功の秘訣」が公開さ れているのですから、読者に成功者が続出したっていいはずですよね?

確かに、成功した人は、どこか 非凡なところがあったり、高い志、不屈の精神、といったものが感じられなくもありません。しかし、それは成功の原因なのでしょうか?結果ってことはないん でしょうか?

「統計思考力」の中で、Journal of Statistical Physicsに掲載されたモントロール・シュレシンジャー論文を紹介しました。所得の分布が、累積度数99%のあたりで突然折れ曲がっている、アレで す。

その意味するところは、下位99%の人たちは、対数正規分布の世界に住んでいて、上位1%の人 たちはべき分布の世界に住んでいるということです。対数正規分布の世界は、「積み重ね」の世界です。ちょっとした努力、ちょっとした偶然(ちょっとよい上 司にあたるとか)の積み重ねでちょっとずつ所得が上がっていく、これが庶民の暮らしです。

しかし、 べき分布の世界には、特徴的なスケールがない(スケールフリー)ので、ちょっとした偶然が巨大な利益をもたらしたりするわけです。偶然、なんらかの理由で 株式投資で資産が何百倍になったりする、というのは一番わかりやすい例です。

株式投資と同じと言っ たら怒られるかもしれませんが、全くの偶然でビジネスが大成功、というようなことも結構あるのではないか、と思うのです。特に、全く新しいビジネスを興す のは全くの賭けであって、その本質はギャンブルと変わりません。べき分布の世界では、所得の多寡は成功の度合を測るには適当ではありません。

私 たちは、成功した人からしか話を聞かないので、彼らの語ることがことごとく成功の秘訣であるように思っていますが、ここには明らかに生存バイアスがありま す。彼らは本当に初めから素晴らしい人だったのでしょうか?成功した後に話を創っている、ということはないのでしょうか?

も しかすると、かれらの成功は(大部分)まぐれなのではないでしょうか?

もちろん、成功する確率を高 めるには、一定の能力が必要でしょう。努力も必要です。
しかし、その水準は私たちが想像しているよりもずっと平凡なもののような気 がします。私の経験では、むしろ、使われる側の方が高い能力を要求されるケースが多いと思います。だって、使う方は、命令すれば済みますが、使われる方は 実際に仕事ができなきゃいけないんですから。